【大塚コラム - 都電荒川線】
都電荒川線(とでんあらかわせん)は、東京都交通局が経営する路面電車(東京都電車。通称都電)の、東京都の三ノ輪橋から
早稲田までの間の線区であり、現在同局唯一の路面電車である。
かつて23区内に多数存在した都電の路線のうち、荒川線は唯一の存続路線となっている。また、都内を走る軌道線は新交通ゆりかもめの
軌道扱いの部分を除けば東急世田谷線と都電荒川線を残すのみとなった。
王子電気軌道を東京都(当時は東京市)が買収したもので、もとは27系統と32系統として別々に運行していたが、都電全面廃止の1972年
11月12日に専用軌道を持つ同系統が荒川線として残った。現在も年配者の中には「王子電車」「王電」と呼ぶ人がいる。
併用区間は、明治通り(正確には国道122号)上を走る飛鳥山〜王子駅前間のほかに数ヶ所あるが、大部分は専用軌道である。
現在は1両編成(単行)のワンマン運転で運行している。
運賃は全区間一律で大人160円、小児80円。先払いである(2007年4月28日現在)。
バス共通カード・ICカード
バス共通カードや2007年(平成19年)3月18日に導入されたICカード(PASMO、Suica。但しSuicaの一部旧券片除く)が使用可能で、
PASMOを導入した路線バスと同様に、すべての車両には「PASMO Suica バス共通カード ご利用いただけます」の表示がある。
バス共通カードは車内でも購入できるほか、ICカードは、バス利用特典サービスや、車内で乗務員に申し出てチャージ(入金)
できるサービスなど、都営バスと同様のサービスが適用されるが、現在のところ都電車内でのPASMO券片の発売は行っていない。
このほか、磁気式の「都営バス専用乗継割引カード」も使用できるが、乗継割引の適用はない。また、鉄道線用のパスネットは使えない。
早朝・深夜を除き、平均5〜6分間隔で運転されている。全区間通しの運転が中心だが、王子駅前、荒川車庫前、町屋駅前、大塚駅前発着の
区間運転もある。各停留所の日中の時刻表は「5〜6分間隔」と表記されており、明確な時刻表は存在しない。そのためか、各停留所には
電車接近と行先を表示する案内表示器が設置されている。また、多客時間帯を中心に2本の電車が続行運転する場合もある。
土曜・休日の日中、特に晴天時は利用者が増えるため区間運転の電車を臨時で増発することもしばしばある。
1960年代の都電廃止の流れの中で、例外的に27系統(三ノ輪橋〜赤羽)と32系統(荒川車庫前〜早稲田)は、ともに路線の大半が元々私鉄の
王子電気軌道によって建設された路線ということもあって江ノ島電鉄や京成電鉄のように、「郊外電車」の色合いが強く、多くが専用軌道であり、
また路線とほぼ並行している明治通りは渋滞が恒常化していたためにバスでは定時運行が困難であったため、代替バスの運行が難しく
沿線住民・都民からの存続要望が強かった。
結局、北本通り上にあった27系統の一部(王子駅前〜赤羽間)が廃止されただけで生き残った。そして、1974年(昭和49年)にそれまで
別系統として運行されていた27系統と32系統を統合し、「荒川線」と改称された。同年度は1日平均約9万人の利用があったが、
沿線の工場や大学の移転、さらには地下鉄南北線開業の影響などで5万5,000〜5万8,000人で推移し、2005年度は5万4,000人台と当初の
6割ほどに落ち込んでいる。
尚、27系統の王子駅前〜赤羽間には現在、都営バス王57系統が運行されている。
ちなみに、27系統終点の「赤羽」とは現在の東日本旅客鉄道(JR東日本)の赤羽駅ではなく都道311号(環八通り)・国道122号(北本通り)
の「赤羽交差点」付近で、現在の東京地下鉄南北線・埼玉高速鉄道線赤羽岩淵駅地上付近の北本通り上にあった。埼玉県側からは、
赤羽から川口市または鳩ヶ谷市方面への都電延伸が要望されていたが、後に埼玉高速鉄道線として実現することになる。
東京メトロ日比谷線三ノ輪駅から日光街道を北へ3分程歩くと、レトロな「梅沢写真館」ビルが出現する。
このビルは旧「王子電気軌道」本社ビルといわれ、飲食店などが並ぶビル1階の通路をくぐると、昭和30〜40年代を思い起こさせる商店街の中に、
起点の三ノ輪橋電停がある。当初は梅沢写真館ビルの位置に電停があったようである。2007年5月にはホーロー看板などを掲げてレトロ調に改装した。
乗客は主婦や都営交通のシルバーパスを所持する高齢者層が多く、いわゆる下町の生活感が漂う中を走って行く。右手に東京都下水道局・
三河島水再生センター(下水処理場)が見える。ここは日本初の下水処理場で、処理場の上に造られた人工地盤に荒川自然公園がある。
約5分後、京成本線と東京メトロ千代田線が交差する町屋駅前電停に到着する。1990年代に行われた再開発前は、ホームと一体化した木造の
大衆食堂やパチンコ店、売店、写真店などがある、生活感あふれる気取らない下町の光景が残っていたが、再開発に伴い大きく様変わりした。
町屋駅前からは、川の手沿いの下町の住宅や町工場が密集する地区を走る。熊野前から小台までは路面を走行する区間であるが、軌道敷の両脇を
縁石で固めたセンターリザーベーション方式となっており、軌道敷内への自動車の乗り入れはできないようになっている。15分程走ると、
近在の手軽なスポットである荒川遊園地前を経て、荒川線の中枢・荒川電車営業所のある荒川車庫前を過ぎ、王子駅前電停に到着する。
ここで乗り換えなどでかなりの乗客が入れ替わり、明治通りを左に曲がって、再度路面を走行する区間に入る。
この区間は軌道敷内への自動車の乗り入れが可能になっている。左側に都内有数の桜の名所である飛鳥山公園を望みながら66‰の急勾配を上る。
明治通りを右手に逸れて専用軌道に入り、飛鳥山電停に到着する。春の花見シーズンは混雑が激しく、休日は2〜3本待たなければ乗れない程の混雑になる。
この先は山の手の起伏に富んだ地区を走る。沿線に高校や大学が多いために、登・下校の時間帯は学生・生徒で混雑する。
尚、その中で西ヶ原にあった東京外国語大学は2000年(平成12年)に府中市に移転した。
「おばあちゃんの原宿」の異名を取る高岩寺(とげぬき地蔵)の最寄りである庚申塚電停を抜け、大塚駅前電停を過ぎると、東池袋四丁目電停で
サンシャインビルの横を通る。サンシャインビルと都電の組み合わせは、写真やテレビ番組撮影の定番として、しばしば取り上げられる。
雑司ヶ谷霊園脇の南池袋、雑司が谷、鬼子母神、学習院下付近は、東京メトロ副都心線の建設工事が進行中で、線路沿いの民家が立ち退くなど
景観が大きく変わっている。
明治通りに沿って神田川に向かって坂を降りる。新目白通りに沿って左に曲がると終着の早稲田電停に到着する。近在には早稲田大学がある。
東京メトロ東西線早稲田駅は直線距離で南に約600m離れている。線路が切れた200m先の右側には都営バス早稲田営業所があり、
新宿・渋谷・上野方面への都営バス路線が発着するほかに都電の定期券の発売も行っている。ここはかつての都電早稲田車庫で、
都電全盛期には線路がつながっていた。
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